小川一水「天涯の砦」

なかなか面白かった。

天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)

天涯の砦 (ハヤカワ文庫JA)

地球と月を中継する軌道ステーション“望天”で起こった破滅的な大事故。虚空へと吹き飛ばされた残骸と月往還船“わかたけ”からなる構造体は、真空に晒された無数の死体とともに漂流を開始する。だが、隔離されたわずかな気密区画には数人の生存者がいた。空気ダクトによる声だけの接触を通して生存への道を探る彼らであったが、やがて構造体は大気圏内への突入軌道にあることが判明する…。真空という敵との絶望的な闘いの果てに、“天涯の砦”を待ち受けているものとは?期待の俊英が満を持して放つ極限の人間ドラマ。

表紙裏のこの紹介だけで、もう辛抱たまらん。
災害小説はいろいろあるけど、宇宙が舞台の災害小説は初めて読んだ。宇宙が舞台の物語だと、大抵登場人物はプロフェッショナルばかりだが、この小説は宇宙旅行が一般的になった時代なので、事故に巻き込まれるのはほとんどが一般人なのが面白い。

ロケットエンジンに変わる、CNW(カーボンナノホイール)というアイディアが秀逸。近い未来に実現しそうな技術が紹介されると、わくわくするなぁ。


登場人物に魅力が足りないのは小川一水さんの小説の特徴なので、気にしなくて良い。


帯で紹介されていた「フリーランチの時代」も面白そうだ。

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

様々な"幼年期の終わり"を描く全5編

幼年期の終わり」とはアーサー・C・クラークの同名の小説のことで、高度な技術を持った宇宙人とのファーストコンタクトを描いた傑作。

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))